年の離れた兄弟、親戚や友人たちの子どもたち、お客様のお子さま、様々な子どもたちに接してきました。その中で、いろいろと気にかかる行動や症状を示す子どもたちに会うことがあります。
気にかかる行動や症状を示す子どもたちを見ていると、「私は大切な存在価値があるんだ、大切な人間なんだ、生きていていいんだ、という気持ち」=『自己評価』の部分が、しっかりできていない、あるいはボロボロに傷ついている、という子が少なくありません。
たとえ親に悪気がなくても、心無い言動で傷ついている子どもたちは多いように見受けられます。例えば、行いを叱るのではなく、子ども自身を否定するといった自己否定を強める叱り方をしてしまったり、「言うことを聞かないのなら、もう家から出て行って!」といった、子どもを突き放すような言葉を投げかけたりといったことです。
医師・カウンセラーとしてご活躍中の明橋大二氏は、ご著書の『子育てハッピーアドバイス2』でこのように述べられています。
そういう子どもに、『しつけ』とか、『勉強』を教えようとしても、身につかないばかりか、逆に、すでに低くなっている『自己評価』をさらに下げてしまう、傷つけてしまうことになりかねません。
「言えば言うほど逆効果」「叱れば叱るほど、悪循環」という子は、たいてい、この一番大切な『自己評価』の部分が、しっかりとできていないのです。そういう子は、いったん、『しつけ』や『勉強』はおいておき、まずしっかり『自己評価』を育むことが必要です。
(中略)
また、様々な事情で、小さいときに、『自己評価』をしっかり育むことができなかった子どもも、おります。その場合もそれでもう手遅れ、ということはありません。いつでも気が付いたときにやり直せば、少々時間はかかっても、必ず取り戻すことができるのです。
この『自己評価』という心の土台が私たちに築かれるのが、だいたい0歳から3歳くらいといわれています。
お母さんに抱っこしてもらったり、よしよししてもらったり、だだをこねたり、一緒に笑ったり、そういうことを通じてこの気持ちが育まれていくのです。
私は、これまで何人かの『自己評価』が低くなってしまっていると思われる子どもたちに接してきました。
辛抱強く抱っこをし続け、あやし続ける、笑顔でたっぷりとスキンシップや声掛けをする、言葉が話せる子の場合には、子どもの話を否定せずにじっくりと耳を傾ける、子どもの目線になって一緒に遊ぶ、可能な範囲で『わがまま』を聞いてあげる。そうやって子どもたちの心を癒すよう心掛けてきました。
ある赤ちゃんの場合は、抱っこすると泣き叫び、「降りたい!」というそぶりを見せて暴れるのですが、降ろすと今度は、即座に力いっぱいしがみついて抱っこをねだる、それで再び抱っこをするのですがまた全力で抵抗をされる、を数時間繰り返すという状態からスタートした時もありました。
そうやって接した結果、無表情だったり、気になる言動を取っていた赤ちゃんや子どもたちが徐々に表情豊かになり、行動が落ち着き始めたり、キレなくなったり、こちらの言うことに耳を傾けるようになってくれるようになりましたので、明橋大二氏がおっしゃっていることは真実だったんだなと実感しています。
明橋大二氏の著書の『子育てハッピーアドバイス2』には、他に
- 子育てで”これだけは忘れてはならない”ということは?
- 子どものしつけはいつから始めればいいのでしょうか?
- 子どものやる気を引き出すには、どんな言い方をすればいいのでしょうか?
- ゲームを長時間やって、なかなかやめようとしません。子どもにどのように声をかけたらいいのでしょうか?
- 悪いことをしたのに、少しも自分の非を認めようとしません。人のせいばかりにして、謝りません。どのように話をすればいいのでしょうか。
- 体罰は本当にいけないのでしょうか?
- 『三つ子の魂百まで』の本当の意味とは?
といったことが書かれています。
子育てでお悩みをお持ちの方はもちろん、お子さまの心の叫びに気付きやすくなるという意味からも、こちらの本は、子育てに奮闘する多くの親御さんに、安心と自信を届けてくれることと思います。