「あおい目のこねこ」は、日本で翻訳本が出版されてから今年で55年目になる、古典の名作です。
ある日、青い目の元気なこねこが、ねずみの国を見つけに出掛けます。
旅の前半では、魚から水をかけられるという嫌がらせをされたり、恐い目に遭ったり、食べ物もほとんどなかったりと困難が続きますが、こねこはいつも「なーに、こんなこと、なんでもないさ」と言って、元気に旅を続けます。
旅の途中で、同じくねずみの国を探す黄色い目の5匹のねこたちと出会い、一緒に暮らすことにします。
ある日、5匹の黄色い目のねこたちから青い目について皮肉を言われたので、青い目のこねこは池に行って自分の顔を映してみます。
そういわれて、こねこは、いけにいって、 水にかおをうつしてみました。
青い目はきれいだし、かおもへんてこではありません。
こねこは、うれしくなって、かけてかえりました。
「ぼくは、へんてこなねこじゃないよ」と、 ほかのねこたちにいってやるつもりでした。
(「あおい目のこねこ」より引用)
こうした場面から、青い目のこねこの芯の強さが感じられます。
周囲からなんと言われようとも、自分で自分の存在を肯定するこねこの前向きな姿、偏見の目にも動じないしなやかな生き方が描かれています。
その後、青い目のこねこは偶然にねずみの国を発見でき、お腹いっぱい食べることができたのですが、そこで自分一人でずっとねずみを食べ続けるのではなく、お腹を空かせた黄色い目のねこたちの元に戻って、ねずみの国へ連れて行ってあげます。
楽しくて簡潔な物語の中に、大切なメッセージが込められている「あおい目のこねこ」。子どもたちが将来、困難な出来事に遭った時に、勇気を与えてくれそうです。
なお、ページ数は多めですが、1ページあたりの文字数が少なく、ほとんどの漢字にはふりがながふってあり、10分ほどで読めます。