私が赤ちゃんや小さなお子さんの保育をする際、心掛けていることの一つが、子どもが自分の感情を言葉で表現できるように言葉を代弁する、ということです。
例えば何かにぶつかったり転んだりしたときには「痛いね」
ミルクを飲んだり食べ物を食べている時には「美味しいね」
遊んでいる時には「楽しいね」
赤ちゃんは、親や保育者に言葉を代弁してもらうことにより、やがて「これが美味しいということなんだ!」「これが寂しいということなんだ!」と分かるようになり、泣く代わりに言葉で表現できるようになっていきます。
心理療法家で二人の男の子の父親でもある矢野惣一氏はご著書『子どもの人生を一生幸せにする愛の言葉がけ』の中で次にように述べています。
親が子どもの気持ちを代弁して教えてあげないと、子どもは自分が今感じている感情が何なのか分からず、言葉として表現することができません。
言葉として表現できないので、赤ん坊のように泣いたり、物や人にあたったりなど表情や仕草として表現します。
「そんなことくらいで泣くんじゃないよ!」と表情や仕草などでも表現することを禁じられた感情は、さまざまな問題や症状として表現されます。症状として表れる典型的なものが、うつ、アトピー、肩こり、胃痛などです。問題として表れる典型的なものが、不登校や引きこもり、非行、酒・ギャンブル依存、過食・拒食などです。
このように、自分の感情を言葉で表現できるかできないかが、その人の一生を幸せなものにも、苦しいものにもします。
矢野氏によると、親が子どもの人生のためにしてあげなければいけない一番重要なことは、子どもが自分の感情を言葉として表現できるようにすること。子どもがどんな感情を表現しても、それを認めてあげることだそうです。
この本には、4歳以上のある程度言葉が話せるようになった子どもの場合や、小学生以上の場合の言葉がけの例も載っていました。
また、「子どもを泣き止ませるためには?」「子どものしたことで頭を下げるのも大切な子育て」「お手伝いは『命令』ではなく『お願い』」「子どもの嘘をあばいてはいけない」といった内容も興味深かったです。
心理の専門家が、子育てに奮闘しながら、実際に使って効果があった実践的なことが書かれていて、「これを世の中のママたちが知ってくれたら、子育てがもっと楽で楽しくなる」という編集者さんの想いで出版が実現したそうです。
子育てで起きるすべての問題をぴたっと解決する方法など存在しないので、「こうするべきだ!」という書き方をしてる本は苦手ですが、この本は「実は私も困っています」と矢野氏の本音も書かれていて安心しました。
読者の心に寄り添ってくれる、読んで良かったと思える本の一冊です。
シッターの仕事をしていると、小さかった赤ちゃんたちが、すくすくと成長していき、だんだんと可愛い言葉を話せるようになる姿を見守ることができて嬉しいです(*^^*)
ちなみに最近ツボにはまった会話・・・夜遅くなってきたので、私がベビーカーに乗っている2歳の子に「もう寝ていいよ~」と言ったところ、帰ってきた答えが「寝なくていいよ~。もう寝たよ~!」。 なんとも高度な返し!!(*^^*)